宅建業法とは?仕組み・35条と37条・8種制限をわかりやすく解説

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宅建業法とは?不動産取引の公正を守る法律の基本と最新動向

「宅建業法は、何を守るための法律?」
「35条書面と37条書面は、何が違うの?」

宅建業法は、不動産会社だけに関係する法律ではありません。家や土地を買う人、借りる人が、契約前に必要な情報を受け取り、公正な取引ができるようにするためのルールでもあります。

この記事では、宅建業法の目的から、宅建業に当たる取引、免許、35条・37条、8種制限、近年の変更までを順番に整理します。宅建試験を受ける方は、細かな数字を覚える前に、まず全体の流れをつかんでいきましょう。

情報の基準日
この記事の法令情報は2026年10月3日時点で確認したものです。2026年度宅建試験の法令基準日は2026年4月1日でした。試験日程は2026年10月21日に再確認しています。

目次
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宅建業法とは?目的をひとことで整理

宅建業法の正式名称は「宅地建物取引業法」です。

この法律は、宅建業者に免許制度と業務上のルールを設けることで、次の目的を実現しようとしています。

  • 宅建業の適正な運営
  • 宅地・建物の取引の公正
  • 宅建業の健全な発達
  • 購入者等の利益の保護
  • 宅地・建物の流通の円滑化

「消費者を守る法律」と説明されることもありますが、条文上は購入者等の利益の保護だけでなく、取引の公正や流通の円滑化も目的に含まれます。

POINT
試験では「誰を守るか」だけでなく、宅建業者の免許、広告、媒介、契約、報酬、監督まで幅広く問われます。最初に法律全体の役割を押さえると、個別の規定を理解しやすくなります。

どこからが「宅建業」になる?

宅建業法第2条は、宅建業を、宅地や建物の取引を「業として行うもの」と定義しています。判断するときは、何を、どの立場で、どのように取引するのかを分けて考えます。

宅地と建物の範囲

宅建業法上の「宅地」には、現在建物が建っている土地だけでなく、建物の敷地にする目的で取引される土地も含まれます。国土交通省の解釈では、地目や現在の状況だけで決まるものではありません。

また、用途地域内の土地は、道路、公園、河川、広場、水路に供されているものを除き、原則として宅地に当たります。

「建物」には建物の一部も含まれます。マンションの一室や店舗の一区画も、取引の対象になり得ます。

自ら貸すだけなら、宅建業の「取引」には含まれない

行為 宅建業法上の取引に含まれるか
自ら売買する 含まれる
自ら交換する 含まれる
売買・交換・貸借を代理する 含まれる
売買・交換・貸借を媒介する 含まれる
自分の物件を自ら貸す 宅建業法第2条の「宅建業」には含まれない

たとえば、自分の賃貸マンションを自ら貸す行為は、宅建業法上の宅建業には含まれません。ただし、賃貸住宅管理業法など、別の法律が関係する場合はあります。

「業として行う」は総合的に判断される

「何回なら宅建業になる」と、回数だけで決まるわけではありません。国土交通省は、次の事情を総合して事業性を判断するとしています。

  • 取引の相手が広く一般の人か、親族など特定の関係者か
  • 利益を目的としているか
  • 転売目的で取得した物件か、自ら使うために取得した物件か
  • 自ら購入者を募集するか、宅建業者へ代理・媒介を依頼するか
  • 反復・継続して取引する予定があるか

1回の販売でも、土地を区画に分けて複数の人へ販売する場合は、反復継続的な取引に当たり得ます。個別の取引で免許が必要か迷う場合は、自己判断だけで進めず、管轄の行政窓口へ確認することが大切です。

宅建業者に必要な免許と専任宅建士

免許は事務所を置く都道府県の数で決まる

宅建業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要です。

事務所の置き方 免許
2つ以上の都道府県に事務所を置く 国土交通大臣免許
1つの都道府県内だけに事務所を置く 都道府県知事免許

免許の有効期間は5年です。期間満了後も営業を続ける場合は、更新を受ける必要があります。

専任の宅建士は5人に1人以上

宅建業者は、事務所ごとに、宅建業に従事する人の5分の1以上の割合で、成年者である専任の宅建士を置かなければなりません。

宅建士だけが行える主な業務は、次の3つです。

  1. 35条に基づく重要事項の説明
  2. 35条書面への記名
  3. 37条書面への記名

2022年5月18日から、35条書面・37条書面への宅建士の押印は不要になりました。現在必要なのは「記名」であり、押印を必須とする旧制度と混同しないようにしましょう。

不動産取引の流れで見る宅建業法

宅建業法の規制は、契約の前後に沿って見ると整理しやすくなります。

  1. 広告:誇大広告の禁止、取引態様の明示、広告開始時期の制限
  2. 媒介契約:契約内容を書面等で示し、専任・専属専任媒介ではレインズへの登録などを行う
  3. 契約前:35条に基づく重要事項説明を行う
  4. 契約成立後:37条書面を遅滞なく交付する
  5. 代金・手付・報酬:自ら売主となる場合の制限や報酬上限などを守る

35条書面と37条書面の違い

どちらも宅建士の記名が必要ですが、役割と時期が違います。

比較項目 35条書面(重要事項説明書) 37条書面(契約内容を記載した書面)
時期 契約が成立するまで 契約成立後、遅滞なく
役割 契約するか判断するための重要情報を伝える 成立した契約内容を明確にする
宅建士による説明 必要 宅建業法上、宅建士による説明までは求められていない
宅建士証の提示 説明するときに必要 37条書面を交付するだけの場面では、同じ提示義務はない
宅建士の記名 必要 必要
電子提供 相手方等の承諾など、法令上の要件を満たせば可能 相手方等の承諾など、法令上の要件を満たせば可能

35条は「契約前に判断材料を渡す」ためのルール

35条の重要事項説明では、登記された権利、法令上の制限、インフラの整備状況、契約解除、違約金など、契約判断に関わる情報を扱います。

具体的な説明項目は、売買か賃貸か、土地か建物か、区分所有建物かなどによって変わります。「35条にはいつも同じ事項を書く」と覚えないことが大切です。

37条は「成立した契約内容を残す」ためのルール

37条書面には、当事者、物件、代金や賃料、支払時期、引渡し時期などを記載します。項目によっては、契約で定めた場合にだけ記載するものや、売買と賃貸で扱いが異なるものがあります。

覚え方の軸
35条は「契約前の判断材料」、37条は「契約後の内容確認」です。まず目的と時期を分けてから、共通項目と片方だけの項目を整理しましょう。

宅建業者が自ら売主になるときの8種制限

宅建業者が自ら売主となり、買主が宅建業者ではない場合には、買主を保護するための特別な制限があります。試験では一般に「8種制限」とまとめて学びます。

区分 主な内容
自己の所有に属しない物件の売買制限 一定の例外を除き、取得できる見込みが明らかでない他人物件などの売買契約を制限する
クーリング・オフ 事務所等以外での申込みなど、法定要件を満たす場合に撤回・解除を認める
損害賠償額の予定等 違約金との合計が代金の20%を超える定めを制限する
手付の額・性質 手付は代金の20%を超えられず、受け取った手付は原則として解約手付として扱う
契約不適合責任の特約 民法より買主に不利な特約を制限する。通知期間を引渡しから2年以上とする特約などは認められる
手付金等の保全 未完成物件・完成物件で、それぞれ法定の要件に応じた保全措置を求める
割賦販売契約の解除等 賦払金の遅滞だけで直ちに解除・期限前請求することを制限する
所有権留保等 割賦販売での登記など、売主側の義務履行を一定の範囲で求める

たとえばクーリング・オフは、「どこで申込みをしたか」「法定事項の告知を受けたか」「物件の引渡しと代金全額の支払いが済んだか」などで結論が変わります。単に「8日以内なら解除できる」とだけ覚えるのは危険です。

また、契約不適合責任では「買主に不利な特約はすべて無効」という説明も正確ではありません。宅建業法第40条が認める範囲と、民法の原則を分けて確認しましょう。

2022〜2026年の主な変更

宅建業法の学習では、古い教材や記事をそのまま使わないことが大切です。近年の主な変更を時系列で整理します。

下表は学習上確認したい変更の一例であり、この期間の改正を網羅したものではありません。

施行時期 主な変更
2022年5月18日 35条書面・37条書面などへの押印を廃止。相手方の承諾等を条件に、書面の電磁的方法による提供が可能になった
2023年5月26日 盛土規制法の施行に伴い、広告・契約時期の制限や重要事項説明に関係する法令名・対象事項が見直された
2024年4月1日 共同住宅等(RC造等)の建物状況調査について、重要事項説明の対象となる調査結果の期間を2年以内へ見直した。その他は原則1年以内
2024年7月1日 「低廉な空家等」の売買・交換の媒介報酬特例を、価格800万円以下の宅地・建物へ拡大。依頼者一方から受け取れる上限は30万円+消費税
2025年1月1日 専任・専属専任媒介の物件について、レインズへの取引状況の登録を義務化
2026年4月1日 管理業者管理者方式が導入されている場合の重要事項を追加。森林経営管理法・森林法の改正に伴い、重要事項説明の対象となる法令上の制限も更新

空き家等の仲介手数料は「400万円・18万円」のままではない

古い記事では、売買価格400万円以下、税抜18万円という特例が紹介されています。現在は、価格800万円以下の宅地・建物が「低廉な空家等」の対象です。

媒介に要する費用を考慮し、依頼者の一方から受け取れる報酬は税抜30万円まで、税込では33万円までが上限です。原則の報酬額を超える場合は、媒介契約を結ぶときに上限の範囲内で合意しておく必要があります。

レインズでは取引状況の登録が義務化

2025年1月から、専任・専属専任媒介でレインズへ登録した物件について、宅建業者は「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の取引状況を登録する必要があります。

売主は登録証明書から売主専用画面へアクセスし、物件情報や取引状況を確認できます。売主の意向に反して他社への紹介を止める「囲い込み」の防止にもつながる仕組みです。

建物状況調査は、建物によって確認期間が違う

建物状況調査は、建物のすべての不具合を保証するものではありません。媒介契約では調査を実施する者のあっせんの有無を記載し、「無」の場合に理由を記す欄も標準媒介契約約款に設けられています。

重要事項説明の対象となる調査結果は原則として調査後1年以内ですが、共同住宅等のうちRC造・SRC造に該当するものは、2024年4月から2年以内へ見直されました。

宅建試験ではどう学ぶ?

RETIOによると、宅建試験は50問の四肢択一式で、出題の根拠となる法令は試験年度の4月1日現在施行されているものです。

直近の公表済み問題である2025年度試験では、問26〜45の20問が宅建業法等に関する出題でした。ただし、これは過去の1年度の構成例です。今後も同じ問題数・構成になるとは限りません。

2026年度試験の記録
試験は2026年10月18日に実施され、合格発表は11月25日です。2026年10月21日時点では、RETIOによる2026年度の合否判定基準と試験問題の公式正解番号はまだ公表されていません。RETIOは、これらを11月25日の合格発表時に掲載すると案内しています。今後受験する方は、受験年度の試験日程と法令基準日をRETIOの案内で確認してください。

主語・時期・相手方をセットで比べる

宅建業法では、似た制度でも主語や相手方が変わると結論が変わります。問題演習では、次の順で線を引くと整理しやすくなります。

  1. 誰の義務か:宅建業者か、宅建士か
  2. いつか:広告時、契約前、契約成立後か
  3. 誰に対してか:買主、借主、売主、契約当事者か
  4. 取引態様は何か:自ら売主、代理、媒介か
  5. 例外はあるか:業者間取引、電子提供、完成物件など

過去問は「正誤の根拠」まで戻る

正解肢だけを覚えると、法改正や聞き方の変化に対応しにくくなります。間違えた問題は、条文や公式資料に戻り、「どの言葉が誤りだったのか」まで確認しましょう。

特に35条・37条、媒介契約、広告、報酬、8種制限は、数字や条件が似ています。比較表を自分で作り、問題文の主語と時期を確認する練習が役立ちます。

よくある質問

自宅を1回売るだけでも宅建業の免許が必要ですか?

自ら使っていた住宅を住み替えのために1回売るケースは、一般に事業性が低い要素があります。ただし、免許の要否は回数だけでは決まりません。取得目的、販売方法、相手方、反復継続性などを総合して判断されます。

大家として自分の物件を貸すには宅建業免許が必要ですか?

自ら貸主となる賃貸は、宅建業法第2条の「宅建業」には含まれません。ただし、他人の物件の貸借を代理・媒介する場合や、管理方法によっては別の法令が関係します。

35条書面と37条書面に押印は必要ですか?

宅建業法上、宅建士の押印は2022年5月18日に廃止されました。現在は宅建士の記名が必要です。書面の電子提供も、相手方の承諾など法令上の要件を満たせば可能です。

宅建業法は暗記だけで対応できますか?

数字の暗記は必要ですが、制度の目的や取引の流れを理解していないと、主語や時期を入れ替えた問題で迷いやすくなります。まず取引の流れをつかみ、その後に数字と例外を整理する方法が取り組みやすいでしょう。

まとめ

宅建業法は、宅建業者に免許と業務上のルールを設け、取引の公正と購入者等の利益を守る法律です。

  • 宅建業に当たるかは、取引内容と事業性を総合して判断する
  • 免許は事務所を置く都道府県の数で大臣免許・知事免許に分かれる
  • 35条は契約前の判断材料、37条は契約後の内容確認
  • 自ら売主となる取引には、買主保護の8種制限がある
  • 古い教材では、押印、空き家等の報酬、レインズ、建物状況調査の説明が現在と異なる場合がある

宅建試験の学習では、結論だけを覚えるのではなく、「誰が・いつ・誰に・何をするか」を比べてください。法改正があるため、受験年度のRETIOと国土交通省の情報もあわせて確認しましょう。

一次資料

法令情報確認日: 2026年10月3日/試験情報再確認日: 2026年10月21日

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